あこのお豆腐引き売り日記 Nさん ①
一年以上ぶりに電話がかかってきた。
時折、リヤカーを止めて
一緒にお茶をしていた
一人暮らしのおじいちゃんからだった。
同じ町を毎週歩いているから
どうしているかと気になっていた方でした。
”もしもし、菅谷さん?まだ豆腐屋さんやってるかい?”
”わー♡お久しぶりです。もちろんですよ^^”
”実はさ、俺、脳梗塞で倒れちゃって、、。
そのあと大腸ガンで手術をして
半年間以上ずっと入院していたんだ。
入院中の食事でよくお豆腐がでてきたんだよ。
それで君をいつも思い出してて退院したから
電話かけてみたんだ。
あんまり動けないのだけど、
美味しいお豆腐とがんもどき
持って来てくれないかい?”
★
次の日を楽しみに会いに行くと
おじいちゃんは、げっそり痩せていた。
だけど生きていてくれたことが嬉しかった。
私、お豆腐屋さんで
よかったなーと思ったんだ。
なぜかずーっと咳こみながら、とても話ずらそうだったのに、おじいちゃんは嬉しそうに15分くらいたくさんお話をしてくれました。
おじいちゃんから、もらった焼き芋は
蜜がたっぷり入っていて
とても甘かった。
何度も
”美味しいねー♡この焼き芋^^”
と言っている私を
おじいちゃんはにこにことみつめていた
別れ際
”いつでも電話してね。
買ってきて欲しいものがあったら、
なんでも言ってくださいね^^
また来週!”
”うん。ありがとう!”
★
いつかきっと、おじいちゃんが天国へ行ったら
また泣くのだろう
でも、豆腐屋あことして、
必要としてくれるのならお届けし続けて、
お話をできるだけ心でたくさん聴いて
できるだけたくさん笑顔を見せ合おう。
そう思いながら
次の道へとリヤカーで進んだ
嬉しかった小雨の降る火曜日の夕方。
つづく
〜本当のお話〜
#お豆腐の引き売り
#引き売りだからできること
#私は自分の仕事が大好き
#あこのありが豆腐